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「どうしたんだ?いつもならもうちょっと人が居るは……ず?」
ガルと炎零は隊長式が行われた広間に顔を出した。
中は騎士で溢れかえっている。
隊長式では綺麗に整列していたのだが、今回は何かを囲むようにして群がっていた。これだけの人数がここに集まればすれ違いもしないな、とガルと炎零は納得した。
こうなると当然騎士達の中心に何があるのかが気になる。
なんとか押し退けて進めないだろうかと思うが中々隙間が見つからない。
「飛んでいってはダメか?」
炎零は天井の高さを見積もりながらガルに問う。どうやら墮鬼特有の黒い翼を出すと言いたいらしい。
ガルは青い瞳を一瞬見開いてみせた。
「いや、炎零墮鬼だってバレるぞ?」
「それは無理だ。ややこしい」
すんなりと諦めた。
そんな炎零を見てガルはため息をつく。今日はため息が多い。
なんとか見れないだろうかと四苦八苦していると、中心にいた人物が二人に気づき、名を呼んだ。
「ガル!!炎零さん!!」
「遅いぞ。二人とも……」
えらく聞きなれた声だった。
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