信乃と道節

3/3
前へ
/10ページ
次へ
その子は竹刀をかたしに行くと モップとバケツをもってやってきた。 バケツにモップをつけて ゴシゴシと掃除を始める。 しばらく、その様子を見ていると 顔をこちらに向けた。 そして、雑巾をこっちに向けて投げてきた! 「曲者~~!!」 「わーっ!!!」 「ギャッ!」 こちらに向けて投げられた 雑巾は頭上を通り過ぎ 第三者の声が上がったかと思うと 次は盛大に尻餅をつく音がした。 「うわーマルやんが信乃にやられたー!」 「信乃の男女ー!」 「マルやん汚ねぇ!エンガチョー」 「くそぉ~!!覚えてろよ信乃!ぜってぇ泣かしてやる!」 …さっきまで自分がいた場所から 数人の子供の声がする。 もし、塀の中に降りていなかったら 雑巾は自分に命中していたかと思うと ゾッとする。 「勝負ならいつでも受けてやる」 少女らしからぬ物言いに本当に女かと疑ったが 顔は可愛い。 黙って座ってれば人形のように。 塀の外が静になるころ 少女は今度は確実に俺に向かって問うてきた。 「で、お前はなんだ?」
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加