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「!そんな泣くほど心配させたか!?」
いろんな感情がないまぜになって
涙がボロボロと頬を伝っていく。
「お、俺にだって、わかんねぇよ!安心もあるけど、髪、勝手に切っちゃうし…なん、でもかんでも…独りで決めん、なよ!」
嗚咽まじりに感情をぶつける。
「お、俺達…俺のこと、家族だって言ったの誰だよ!家族だったら、互いに支え合うだろ?なのに、お前は…お前はっ!」
ぎゅっと裾が
握引っ張られる感じがした。
すまなそうに眉ねを下げた信乃が言う。
「…気づくの遅くてごめん」
「本当だよ!このバカ!」
うん。と、頷く声がする。
「…もう、見失わないから、だからお前も俺のこと見ててくれ」
迷子にならないように
互いに互いが独りにならないように
そういう意味をこめて。
しばらくして涙が収まってきた。
「…とりあえず、髪、整えるか」
「あぁ、頼む」
信乃の手を取って
風呂場へと向かう。
信乃は何かに気づいたのか
焦ったような声を出す。
「ちょ、荘助?髪ならここで切れば」
最後まで聞かず
ピシャリと言う。
「臭います」
end
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