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俺に妹がいる。
そのことを知ったのはつい最近のこと。
女中達の噂話が気になって
ヨシロウという、初老の男に問いただした。
この男は月に2・3度の頻度で
母さんに定期報告しに来ている。
この定期報告というのが、俺の妹のことだった。
そもそも、なんで妹なのに
一緒に住んでいないのかというと
父親が違うからだ。
だから、妹は生まれたのち
すぐに養子に出された。
その妹が豊島区の大塚にいると聞き
一目会いたくて家を出た。
「どこだよここ~!!」
迷うのも当たり前。
子供の足ではせいぜい隣町までが限界。
日も暮れてきた。
不安が募る。
携帯で迎えに来てもらおうかとも思ったが
携帯はGPS機能がついていて
居場所がすぐにバレるため置いてきていた。
帰るのも困難になっていた。
「やあーっ!!」
「おおっ!大分上手くなってきたな」
バシン、バシンと
小気味よく乾いた音がする。
その音がする方へ導かれるように向かう。
塀をよじ登り中の様子を見た。
「よぉし。今日はここまで。帰り支度をしなさい」
「ありがとうございました!」
そこは、どうやら剣道道場らしい。
しかも門下生は女の子一人のようだ。
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