全てを諦めかけた少女

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はあ、私はため息をついた 今、私は橋の上で下の川を眺めていた 雨が降った後だから流れが強い ここから跳べば変わるかな? 「飛び降りるの?」 アイツはいきなり声をかけてきた 私はびっくりして振り返った そこにはアイツがいた 黒いネコを連れているアイツ 生きてても楽しくないじゃん 私はアイツに吐き捨てるように言った 「そっか」 アイツは悲しそうな目をしながらネコを撫でた ネコは気持ち良さそうにしている 私のことだよ? なんでそんな目をするの? 私はアイツに問う 「あるところにススムと言う男の子がいたんだ」 アイツはしゃべりだした ありえない話しだった サナギとか誰が信じるのよ 人の体がそんなふうになるわけないじゃない 私は言ってやったわ するとアイツはまた悲しそうな目をした 「失ってから気づいても遅いんだよ」 「僕からのお願い、毎日を大切にしてください」 「そうしないと後悔するから」 アイツの目から涙が出ていた 「みて」 私はつき出された腕をみた 腕は音もなく形が変わっていく 「キャー」 「化け物がいるぞ!」 近くを歩いていた人が悲鳴をあげている うるさいわね 私だって悲鳴ぐらいあげたいわよ でも私は不思議と怖いとはおもえなかった アイツの涙に引き込まれていた アイツは何も言わずに人混みになったその場を離れようとしている 悲しそうな目で アイツが歩いていくと周りの人たちは避ける 口々に化け物だとか言ってる アイツは歩くのを止めてこっちを振り向いた 私との距離はあいている 「お願い」 口パクだったがそう言ったと思う 私はかなで! 覚えてよね! 聞こえたかどうかはわからない でも言わずにはいられなかった これが私とアイツの出会い 長くなってごめんね 私、アイツと話してから なんだか変なんだ つまらないとしか思えなかった日常がアイツのことを考えるだけでドキドキする アイツの悲しいそうだけど優しい目、涙 私は好きになった 今、思うとあの話しはアイツ自身のことだと思う ・・・いろいろカッコイイじゃん
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