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「えー、何それ。わからないから訊いてるのに!」
「訊けば何でも教えてくれると思ったら大間違いだからな」
「そういう意地悪なとこ、全然変わってないよね!」
「お前のバカっぽいところも全然変わってないけどな」
「ひっどーい!私バカじゃないし!」
「はいはい。そういうことにしておいてやるよ」
うー、と神奈が低く唸る。
2人はいつの間にか、いつもと変わらぬ幼稚なやり取りをしてしまっていた。
そのことに気づいた詩音は、仕切り直すようにゴホンと咳払いをする。
「…で、お前はこれからどこに行きたい?今は一応大通り方面に向かって歩いてるけど」
「え。しーちゃん行きたいところないの?」
「…特に考えてなかった」
「えー…」
神奈の呆れたような視線に、詩音は仕方ないだろ!と心の中で叫んだ。
神奈とデートすることを決めたのは今朝なのだ。
どこに行って何をしようかなんて考える暇などなかった。
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