意識

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「おい。クレープ屋なんてどこにもないじゃねえか」 「あれー?おかしいなあ」 大通りにやって来た神奈と詩音は、クレープ屋を見つけられずに道を彷徨い歩いていた。 「本当に大通りにクレープ屋なんてあるのか?」 「あるよ!璃麻が確かにそう言ってたもん!」 「もうなくなったのかもしれないぞ」 「そんなことない!」 「その自信はどっからくるんだよ…」 はあ、とため息をつく詩音。 「あ。もしかしたらこっちかも!」 神奈はそんな詩音の腕を引っ張り、体の向きを変えて方向転換する。 と、その時運悪く誰かとぶつかってしまった。 「ご、ごめんなさい」 「……いいえ」 フードを目深に被った少年だった。 彼は軽く頭を下げると、神奈と詩音の横をすり抜けてその場から立ち去って行く。 神奈は無意識的に、その姿を目で追っていた。
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