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「おーい。何ぼーっとしてんだよ」
「……え?」
神奈がはっと我に返ると、目の前に詩音の顔があった。
いつの間にか曲は終わっていた。
「え?じゃねえよ。また俺の歌声に聴き入ってたとか言うんじゃないだろうな」
「あ。ごめん。ちょっと厨二病ちっくなこと考えてた」
「考え事してたのかよ!しかも何だよ、"厨二病ちっくなこと"って!」
「あれ、しーちゃん知らないの?厨二病っていうのはね、中学2年生頃の少年少女にありがちなちょっとアイタタな思考や行動のことを指すものらしくて――」
「そういうこと訊いてるんじゃねえよ!!」
何なんだよもう、と詩音は頭を抱える。
「……あのさ、しーちゃん…」
「あ?」
「また曲入れるの忘れちゃった。もう一曲お願いします!」
「――いい加減にしやがれっ!!」
と怒鳴りつつも、結局詩音は3曲目を歌うのだった。
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