意識

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その後1時間ほどカラオケ屋に滞在し、出て来た時にはもう既に大通りは夜の顔に移りつつあった。 「久々に歌ってすっきりしたー!」 「…俺は何か疲れた…」 相変わらず上機嫌な神奈とは対照的に、その横を歩く詩音は何だかゲッソリとしている。 神奈にいいところを見せようといつも以上に張り切ったその疲れが、今どっと出てしまったのだ。 「時間も遅いし、そろそろ帰る?」 「…そうだな」 結局自分は、神奈にいいところを見せることが出来たのだろうか。 家路へと向かい始めた神奈の背中を見つめながら、詩音は思う。 今日のデートは、正直あまり手応えがなかったような気がする。 途中から神奈はこれがデートだということを忘れていたのではないだろうか。 いや、きっとそうだ。 これでは全然変われていない。 そんなに急に変わる必要もないのだが、今の詩音はとても焦っていた。 「……なあ、神奈」 「ん?何――」 だからだろうか。 無意識に体が動いてしまったのは。
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