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「やめて!」
神奈は咄嗟に詩音の体を突き飛ばした。
「…何でこんな…。どうして…」
「神奈…」
「わからない…。もう、わからないよ…!」
今にも泣き出しそうな表情で叫ぶように言うと、神奈は踵を返して走り出した。
「神奈!」
詩音は慌てて追い掛けるが、神奈の姿はどんどん遠のいて行く。
おかしい。
いつもなら簡単に追いつくはずなのに。
「くそ…っ」
ついには神奈を完全に見失ってしまい、詩音は苛立たしげに髪を掻き乱した。
後悔なんてしないはずだったのに。
すべては、焦りすぎた自分のせい。
神奈の傷ついたような顔が脳裏に過ぎる。
詩音は激しい自責の念に苛まれた。
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