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少年はその一部始終を、離れた場所からじっと見つめていた。
「ねえ君、ひとりで何やってんの?」
と、不意に背後から声を掛けられる。
柄の悪い4人の男たちが、少年の周りを囲んでいた。
「中学生?友達でも待ってんの?」
「こんな場所にひとりでいたら危ないよー?」
「そうそう。君みたいに調子づいた中坊は真っ先に目ぇ付けられちまうよ?」
「お子様は早く帰りなー。ってことで、」
何も反応しない少年の肩に、ひとりの男がぽんと手を置いた。
「わざわざ忠告してやった優しいお兄さんたちに、お礼してくれないかな?」
つまり、金を出せ、ということだ。
最初からそれが目的だった男たちは、ケタケタと下品な笑い声をあげる。
「………触んな」
「あ?」
「――汚ねえ手で触んじゃねえって言ってんだよ」
今まで黙っていた少年が、低い声でそう言った。
次の瞬間、少年の肩を掴んでいた男の手にボールペンが突き立てられた。
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