天使か悪魔

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「いってぇえええええぇっ!!!」 男が大きな悲鳴をあげる。 少年はそんな男の手首を掴み、自分の方にグイッと引き寄せると強烈な頭突きを食らわせた。 「がっ」 男の視界がくらりと歪む。 間髪入れずに鳩尾に膝蹴りを入れられ、男は地面に蹲って悶絶した。 他の男たちは、目の前の状況を理解できずに間抜けな表情で立ち尽くしている。 少年は顔を上げて彼らの方を見た。 フードの下から覗くその瞳は、ギラギラと獰猛な光を放っていた。 視線を動かさないまま、足元で唸り声をあげる男の背中に右足を置き、グッと力を込める。 男の口から、また悲鳴が漏れた。 少年はその様子にニヤリと不気味な笑みを浮かべた。 「――優しいオニイサンたち、次はどんなお礼をしてほしい?」 男たちは恐ろしくなって、なり振り構わず我先にとその場から逃げ出した。
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