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神奈は、近所の公園でひとりブランコを漕いでいた。
ここに来ると、詩音と初めて会った時のことを思い出す。
――よろしくね!しーちゃん!
――よろしく、かんなちゃん!
そうやって2人で無邪気に笑い合って、手を繋いだ。
けれどもう、あの頃のようにはいられない。
いつの間にか、変わってしまった。
長い間傍にいたのに、詩音の気持ちに気づこうとしなかったバカな自分。
真弥のこともそうだ。
自分は無意識に、また誰かを傷つけている。
そうだ、あの時だって――
「……え。…あれ?」
神奈は顔を上げて辺りを見回した。
前にも、ここで同じようなことを考えて落ち込んでいた気がする。
何だろう。
デジャヴというやつだろうか。
いや、でも――
「あっれ~?お嬢ちゃーん、こんなとこりょで何してるんでしゅかあ?」
と、突然誰かがブランコを揺らしてきた。
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