天使か悪魔

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「何してんだよ、オッサン」 ドスの効いた低い声。 フードを目深に被った少年が、男性の手首を掴んでいた。 あの少年は―― 「な、何だよぅ。邪魔するなよ~」 「ああ"?」 「いでででででで…っ!ごめんなさいごめんなさいぃぃ」 抵抗しようとした男性だったが、手首を捻り上げられて呆気なく降参した。 「死にたくなかったらとっとと失せろ」 少年の脅しに、男性は情けない声を上げながらヨタヨタと千鳥足で逃げて行く。 助かった、と神奈は安堵のため息を漏らした。 「…あ、あの…ありがとう」 「別に」 「…もしかして、大通りで私がぶつかっちゃった人…?」 「さあな。もう忘れた」 ファサ、少年がフードを取る。 神奈が驚愕に目を見開いた。 少年の髪は、綺麗な赤色だったのだ。
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