天使か悪魔

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「その髪…」 「あんた、これ見て何か感じねえか?」 「…え」 神奈は困惑する。 根元まで綺麗な赤色の髪。 ユウと、それからナオと同じ髪の色。 「…あなた、もしかして――」 だからだろうか。 とても珍しい髪色なのに、どこかで見たような感じがするのは。 「雨音くんの弟さん?」 「はあ!?」 「わかった!じゃあ紫堂先生の弟さんだ!」 「おいおいおい。何訳わかんねえこと言ってンだよ。しかもどっちもおれが弟じゃねーか!」 「え。だってあなた、あの2人よりも幼く見えるから…」 「悪かったな!!おれはこれからなんだよ、ほっとけ!」 「ん?そう考えると雨音くんと紫堂先生にも血の繋がりがあるってことになるよね…?あれ、どうなんだろ?」 「…あー。もういいわ」 少年は疲れたようにため息をつき、フードを被り直して踵を返した。 「じゃーな」 「えっ。あ、ちょっと待って――」 「…浮間?」 神奈が少年の背中を追い掛けようとした時、誰かに名前を呼ばれた。 振り向くとそこに、コンビニの袋をぶら下げた亮夜が立っていた。
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