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「……詩音は、一緒じゃないのか?」
しばらくの沈黙の後、亮夜が躊躇いがちにそう問い掛けてきた。
神奈は思わず俯いてしまう。
「さっきまで一緒だったけど……もう帰ったんじゃないかな」
「…そうか」
「うん…」
「……その…デート、どうだった…?」
カサッ、亮夜がコンビニ袋を持ち直した音が夜の公園に響き渡った。
神奈は俯いたまま何も言わない。
「…浮間?」
「……ねえ、鎌瀬くん」
「うん?」
「デートって、やっぱり好きな相手を誘うものなんだよね」
「…まあ、一般的にはそういうことになってる、な」
「そうだよね。…そうなんだよね」
神奈がははは、と自傷気味に笑う。
「……何か、あったのか?」
何かを察した亮夜が優しく問うと、神奈は今にも泣き出してしまいそうな顔を上げた。
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