天使か悪魔

13/16
前へ
/1035ページ
次へ
「どうした?急にぼーっとして。気分でも悪いのか?」 少女の映像は消えていた。 今神奈の目の前にあるのは、亮夜の心配そうな顔。 「……大丈夫」 「大丈夫じゃないだろ。顔真っ青だぞ」 そう言って亮夜が手を伸ばしてきたのを見て、神奈は拒絶するように後ずさってしまった。 亮夜は傷ついたような表情をする。 「ご、ごめん…。でも、本当に大丈夫だから」 「……そうか」 「…うん」 「心配だから、一応家まで送るよ」 「そんな、いいよ。ひとりでちゃんと帰れるから」 「いや、でも――」 「バイバイ、鎌瀬くん。また明日!」 何とか食い下がろうとする亮夜だったが、神奈に笑顔で手を振られ、それ以上何も言えなくなってしまう。 亮夜は渋々神奈を置いて歩き出すしかなかった。
/1035ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35602人が本棚に入れています
本棚に追加