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「どうした?急にぼーっとして。気分でも悪いのか?」
少女の映像は消えていた。
今神奈の目の前にあるのは、亮夜の心配そうな顔。
「……大丈夫」
「大丈夫じゃないだろ。顔真っ青だぞ」
そう言って亮夜が手を伸ばしてきたのを見て、神奈は拒絶するように後ずさってしまった。
亮夜は傷ついたような表情をする。
「ご、ごめん…。でも、本当に大丈夫だから」
「……そうか」
「…うん」
「心配だから、一応家まで送るよ」
「そんな、いいよ。ひとりでちゃんと帰れるから」
「いや、でも――」
「バイバイ、鎌瀬くん。また明日!」
何とか食い下がろうとする亮夜だったが、神奈に笑顔で手を振られ、それ以上何も言えなくなってしまう。
亮夜は渋々神奈を置いて歩き出すしかなかった。
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