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亮夜の背中を切なげに見送って、神奈はその場にうずくまる。
「――あんなのが好みなのか?」
しかし、頭上から唐突に声が降ってきたことに驚いてすぐさま立ち上がった。
先程の少年が、腕組みをして立っていた。
「…あ、あなた、帰ったんじゃ…」
「あ?待てっつたのはテメェだろうがよ」
だからこうやって律儀に待っててやったんだろ、と少年が唇を尖らせる。
確かに神奈は、去り行く少年の背中にちょっと待ってと声を掛けた。
けれど彼はそのまま、立ち止まることなく暗闇に姿を消したのだ。
「…今までどこに…」
「そんな細けえことはいちいち気にすんな。…で、何だ?あんたはああいう弱っちい野郎が好きなのか?」
「な、何言ってるの!?鎌瀬くんは弱っちくなんか…」
「突っ込むとこそこかよ!…あのなあ、何もわかってねーみたいだから教えてやるけどよ、」
少年がグイッと神奈に顔を近づける。
「――あんた、"普通"じゃないんだぜ」
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