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「さっきから意味わからないことばっかり言って!あなたは一体何がしたいの!?人のこと困らせて楽しいの!?」
ついに怒り出した神奈は、捲し立てるように言うと少年の肩を掴んでガクガクと揺らす。
「な、ち、ちょ、おちつけ、」
「私は普通よ!ごく普通の女子高生なんです!!」
「わ、わかっ、から、」
「何なの!?あなたは本物の厨二病患者様なの!?」
「ちが、いいから、はな、」
「だいたいあなたは――」
「わかったからいい加減離しやがれっ!!」
耐え切れなくなった少年は神奈の手から強引に逃げ出した。
ゼエゼエと息を乱し、神奈を睨み見る。
「っざけんじゃねえ!!テメェ、おれを殺す気か!」
「…あ。ごめんなさい。ついカッとなって…」
「ったく、テメェの方が意味わかんねえっつーの!何なんだよ、厨二病患者様とか何とかよぉ」
「ちなみに厨二病というのは…」
「それ以上何も言うんじゃねえ!」
すっかり疲れた様子の少年は、そのままため息をひとつ零して踵を返す。
「…今度こそ、じゃーな」
「あ。その前にひとつだけ!」
「……ンだよ」
「ひとつだけ、教えて。…あなたの名前は?」
「…名前?」
少年が足を止めて、ゆっくりとこちらを振り向いた。
「――キョウスケ」
フードに隠れたその顔は、笑っているように見えた。
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