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神奈が自宅の扉に手を伸ばした時、突然中から母親が飛び出てきた。
神奈は驚いて後ずさる。
「神奈!」
「お母さん。そんなに慌ててどうしたの…?」
「どうしたの、じゃないわよ!今までどこに行っていたの!?」
「え。どこって、大通りに…。電話で言わなかったっけ?」
「こんなに遅くなるなんて聞いてないわ!!」
家の外であるにも関わらず、母親は神奈の肩を掴んで大声をあげた。
神奈はびくりと体を震わせる。
その怯えたような反応を見て我に返った母親が、ごめんなさい、と神奈の頭を撫でた。
「驚かせちゃったわね…。ちょっと感情的になりすぎたみたい」
「…ううん…。私が遅くまで帰らなかったのが悪いの。ごめんね…」
素直に謝った神奈に、母親は優しく微笑みながら首を横に振る。
「夕飯は?もう食べてきたの?」
「ううん。まだ…」
「よかった。実はそうなんじゃないかって思って用意していたのよ。さ、早く中に入って一緒に食べましょう」
神奈は母親に背を押されて、家の中へと入って行った。
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