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｢…ずるいって何だよ｣
亮夜は携帯電話を耳に当てたまま呟くように言った。
しかし、既に通話は終了しているため、その言葉は誰の耳にも届くことはない。
――お前は、ずるい
詩音はそう言って電話を切った。
喉の奥から絞り出したような、弱々しい声だった。
一体自分の何がずるいというのだろう。
亮夜は、それを言うなら詩音の方がずるいじゃないか、と思った。
詩音と同じ気持ちかはわからないが、少なくとも神奈は詩音のことを"特別"に思っている。
２人は互いに心を許し合い、信頼し合っているのだ。
その関係が、亮夜からしてみればとても羨ましく思えた。
自分もそんな風に、神奈との絆を深めたい。
けれど、神奈との距離の取り方がわからないのだ。
もっと近づきたいのに、どうすればよいのかわからない。
そんな自分がもどかしかった。
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