膨張する不和

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「お母さん、これ…」 着替えを終えてリビングに向かった神奈は、テーブルの上に置かれた料理の量に愕然とした。 グラタン、コロッケ、ハンバーグ、オムライス、唐揚げ…。 神奈の好きな食べ物ばかりが、所狭しと並べられている。 「ポテトサラダも作ったのよ」 弾んだ声と共に、さらにポテトサラダが追加された。 大勢でパーティでもするかのような豪華さである。 しかし、この大量の料理を食べるのは神奈と母親の2人だけだ。 「こんなにいっぱい…。どうしたの?」 「たまにはこういうのもいいでしょう?」 「…でも、さすがにこの量は…」 「残してくれていいから。ほら、早くしないと冷めちゃうわよ」 そう言って、母親は躊躇う神奈の腕を引っ張り、半ば強引にイスに座らせる。 「はい、いただきます」 「…いただきます」 神奈は疑問を感じながらも、母に倣って食事を開始した。
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