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どのくらいそうしていただろう。
神奈がなかなか下りて来ないことに気づいた母親は、キュッと蛇口を締めた。
「……何かあったのかしら」
嫌な想像ばかりが膨らんでしまい、いてもたってもいられなくなる。
母親はエプロンを付けたまま、駆け足でリビングを出た。
階段を駆け上がり、神奈の部屋へと向かう。
見慣れた扉にノックをするが、中からの反応はなかった。
それどころか、物音ひとつしない。
まさか…、静寂が不安を駆り立てる。
「神奈?神奈!?」
叫ぶように名前を呼んでみるが、やはり何の反応もない。
焦った母親は躊躇いなくノブを回し、扉を開いた。
そして中に入ると、そこには――
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