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「…貴様は何も感じないのか」
「何がー?」
「神奈殿やその母君が悩み苦しんでいる様を見て何も感じないのかと訊いているんだ」
ついナオの口調が強くなる。
「嫌だなあ。オレが何も感じてないとでも思ってるの?」
ユウはいつもの調子で言うと、地を蹴って軽くジャンプする要領でフッと飛び上がった。
だが、その跳躍は常人のそれとはあまりにもかけ離れていた。
ユウの体は、一瞬にして電柱の上へ。
そうしてナオと視線を合わせ、満面の笑みを向けたのだ。
「――もう楽しくて仕方ないよ」
ナオの目が見開かれる。
咄嗟にその場から飛び退いた瞬間、ユウの鋭い蹴りが鼻先を掠めた。
ナオは何とかそのまま地面に着地する。
「よ、っと」
その代わりに、今度はユウが電柱の上に立った。
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