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「…貴様…」
地面に片膝をつけたまま、ナオがユウを睨みつける。
「そんなに睨まないでよー。照れちゃう」
「…どういうつもりだ」
「何だよー。この前の仕返ししただけじゃん?」
「違う。そうではない。"楽しくて仕方ない"というその言葉の真意を教えろ」
「ああ、そっちね」
ユウはフッと笑ってポケットからいちごみるくキャンディを取り出した。
包みを開き、中身をひょいと宙に放り投げる。
それを見事に口でキャッチすると、満足したようにナオに視線を戻した。
「だって、オレたちとカンナの距離がどんどん縮まっていってるんだよ?楽しくないワケがない」
「何を馬鹿な…。我々の存在が、神奈殿を苦しめているんだぞ!?」
「はあ?キミこそ何言ってんの?」
ユウがひどく愉快そうに笑う。
「――ヒーローはヒロインを苦しめたりしないよ」
ゾクリ、ナオの背筋に悪寒が走った。
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