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教室を出て、璃麻に言われた通り保健室に向かう。
あのちょっと変わった保険医と顔を合わせなくてはならないのは気が引けるが、仕方ない。
体育を体調不良で欠席した場合には、保険医から簡易診断書をもらって後で提出しなければならないのだ。
面倒な制度だと思いながら、重い足取りで廊下を歩く。
そうして保健室の前までやって来た時、神奈は大きく深呼吸した。
「…大丈夫。ちょっと休むだけだし」
よし、と無駄に気合を入れて、扉に手を掛ける。
「失礼します!」
勢いよく扉を開て現れた神奈に、ナオはひどく驚いた。
「神奈殿っ」
慌てて回転式のイスから立ち上がれば、ガタッと豪快に足を机にぶつける。
その反動で、机の上に置いてあったコーヒーカップが倒れた。
半分以上残っていたコーヒーが零れ、ナオの白衣を襲う。
「…あ」
気づいた時には、机の上も白衣もコーヒーまみれになっていた。
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