プロローグ

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…しまった。インクが切れてしまった。 この書類は明日までに議老会へ提出しなければ成らないのに。 私はチッと舌打ちをして、足元に寝ていた翼猫を足先で突いた。 「おいダルキー。ちょっと書庫からインク壷を取って来てくれ」 むにゃむにゃと猫はあくびをした。翼がぱたぱたと動く。 『ふあ~。せっかく気持ちよく寝てたのに』 頭をカシカシかいて、白い翼を付けたクロネコは伸びをする。 「お前は一応私の使い猫だろ。少しは働いたらどうだ」 いいから行け、と羽根ペンを振った。 翼猫…ダルキーはぶつくさ言いながら飛んで行った。 さて、書類をあげるとしてもインクが無ければ書けない訳で。 少し休憩するか…。 私は執務室に備え付けのポットから、香り高い花茶をカップに注ぐ。 ふわりと、花の香が執務室に漂う。 うん、旨い。流石は幻想花の花弁を集めた茶だ。 しばらく浸っていると、執務室にノックが響いた。 『アソールさまぁ。取って来たぞ』 口にインク壷をくわえたダルキーが入ってきた。 休憩は終わりだ。 さあ、仕事だ。
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