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「えらく騒がしかったな。声が響き渡っていたぞ」
土方さんが関心なさそうに聞いてくる。
「叶が、がまの薬がイヤってうるさくて。でもちゃんと塗りましたよ」
そう…あの後、総司の黒い笑みに負けて私は渋々薬を塗ってもらった。
「よく我慢しましたね」
って塗り終わった後に総司が頭を撫でた。
「そうか。総司ご苦労だった…それでだ、お前はどこから来た?」
私に鋭い視線を向けて土方さんが聞いてくる。
「…私は…
信じてもらえないかもしれませんが、未来から来ました」
私がそう言った後、少しの間沈黙が過った。
「…ぷっ…」
その空気に耐えられなかったのか総司が吹き出した。
「あはは!叶!つくならもっとましな嘘つかないと」
私は必死に嘘ではないと否定する。
「…嘘じゃないんです!…私が来たのは20××年…今はそんな時代じゃないでしょ!?」
「…確かに…。じゃあ、どうやって来た?」
「…事故に遭いました。…男の子を庇って…気づいたらこの時代に…」
また、沈黙が流れる。
「…それで…他に行くところがあるのか?」
土方さんが考えるようにして目を閉じている。
「…ないです。でも、私邪魔なら出ていきます」
と言った時、バンッと畳を叩く音がした。
「…っそんな!ダメですよ!僕が許しません!」
みんながびっくりした目でいきなり立った総司を見る。
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