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キーンコーンカーンコーン──。
終礼の終わりを告げるチャイムが鳴ると同時にざわつく教室。
「今日はどこ行く??」
「じゃあ、また明日な」
なんて帰宅する人や部活に行く人。名前は覚えていない。
きっとみんなも私の名前なんて覚えていないはず。
だって私に話しかけてくれる人なんて一人もいないから……?
学校から早く抜け出した。
家に帰ってもやることなんかないけど、一人でいたほうが楽だから。
街を歩けば、ケータイをいじりながら歩く女、大声で話す男、ぶつかっても誰も謝らない。
腐ってる…この世界は腐ってる。
「…ホント…生きてるのがバカみたいだわ」
そう呟いた時、私の目に写ったのは一人の小さい男の子が、車道に走って行く姿。
そして、前からは大型トラック──。
「危ない!!!」
そう叫ぶと私は走っていた。
遠くからは救急車の音。
私の上に暖かい水の粒が落ちる。
泣きじゃくる声。
意識を手放す前に男の子が顔をぐちゃぐちゃにして泣いている姿が目に入った。
あぁ、あの男の子は助かったんだ…。
良かった…。
…私、やっと死ねるんだ──。
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