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「・・・痛っ」
軽く俎板のたたかれる音が唐突に止んだ。
「どうしたの・・・っ」
最初に目に入ったのは、滴り落ちる真っ赤な
「・・・血」
「あ、リュウ。」
「血が・・・でてる」
「ちょっと、どじっちゃった…リュウ?どうした…っ」
僕はその色に引き寄せられるまま
「ぁ・・・っん、」
血に染まった君の指を口に含んだ。
久しぶりに感じる、君の命
僕はもう
夢中だった。
「ちょ、リュ…っぁ、」
指の付け根、
手のひら、手首
君のからだがひくりとみじろいだ。
「リュウ…ちょ、リュウったら!」
「っ!」
僕はハッとして君の手から唇を放した。
「・・・ごめ、」
後悔と焦りが渦巻いていく
「ううん。」
君は笑っていた。
とてもやさしく
とても悲しそうに
笑っていた。
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