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「ねぇ、リュウは人間に…なりたい?」
君は傷にテープを巻きながらポツリと言った。
「・・・・急に何を・・・・」
「なんとなく…分かるの、そういうの。人ならざるものっていうの?」
「・・・・人では、ない・・・もの」
「最初から知ってたの。リュウは人とは違うって。夜、私と布団に入るけど、眠ってないのとか…影が、ないのとか…。」
「・・・・茜・・・」
「だから、隠さなくていいんだよ。つらいでしょ?」
僕を見つめる真っすぐな瞳
逃れようとしたけどかなわなくて…
「僕が怖くないのか。」
「うん。リュウは怖くない。なんとなく分かる。リュウはやさしいって。だから、怖くない。」
変わらない。
君は不思議な人だ。
なぜそんなにも包容力があるのか。
まるで天使のような…
いや、過の聖母のような。
「人間になりたいって思ったこと、ないの?」
「・・・・わかん、ない。」
「人間になることはできるの?」
「……。」
「・・・方法、あるんだ?」
君の澄んだ瞳が僕の心を見透かす。
「どうすれば人間になれるの?」
僕は君の問いから逃げるように目をそらして、口をつぐんだ。
「…ねぇ、お願い。教えて?」
涙があふれそうだった。
君にだけは知られてはならない、そう思ってたのに。
「…知りたいの。」
「…最愛の人の心臓を喰らうこと。」
唇が、戦慄いた。
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