5人が本棚に入れています
本棚に追加
「可奈ちゃん、コペンじゃコーナーはよくてもストレートが不利だろ?なんなら俺が相手しようか?」
一部始終を聞いていた常連客のアルファロメオ75乗り、亀山徹の申し出を可奈は丁重に断った。
「下りならコペンで勝負出来ると思うの。ありがとう亀山さん」
「そこまで言うならSタイヤは貸すよ。あと、コペンで勝つ為の作戦もね」
「ありがとう。店長!」
可奈は意気揚々と裏のガレージに向かって行った。
「すみませんね亀山さん」「心配だから俺も行くよ。しかし大丈夫かね店長?シルエイティーなら吊るしでもコペンの倍はパワーがあるし、今時ブーストアップ位はしてるはず。可奈ちゃんには悪いが、ストレートでチギられるのは目に見えてるよ」
「確かに。でも下りでコペンのポテンシャルを活かし切れば、勝機はあると思いますよ」
そう言って微笑む店長は亀山に煎れたての珈琲を出した。
10時を過ぎると有料道路のベルデロードは無料になる。片側2車線の一方通行だから攻めるにはもってこいだし、上り下りで道の性格が違うところが最大の特徴だ。上りは8割がた新設された道路で、コーナーのRが緩やかな場所が多く、長いストレートのトンネルがある為に最高速向き。対して下りはブラインドコーナーが多く下り坂が大半で路面はバンピー。2車線あるがレコードラインは一本と言われている。
10時半。可奈と亀山、ベルデロードの常連が見守るなか3台のシルエイティーが乗り込んで来た。
最初のコメントを投稿しよう!