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正木はコペンのテールランプ目掛けてアクセルを踏んだ。
「直ぐ追い付く距離なんだよ!」
自分自身への焦りは可奈に対する怒りに変わり、更に正木の視野を狭くした。
すり鉢ストレートを4速全開で抜け、緑の丘トンネルで5速に入れて通過する。視界が狭まる緑のトンネルだが、コペンのテールランプに意識が集中していて、正木は躊躇なくアクセルを開けた。コペンのテールが間直に迫る。
残すは最後のストレート。
正木が追い付いたと確信した時にコペンが加速した。
「何ぃ!?」
自分の前にあるメーターを見て驚愕する。どんなチューニングをしたのか、軽自動車が出せる速度を超えていた。
だが、ストレートで並べば勝負が着くのも確信した。コペンはイン側にいるのでアウト側にシルエイティーを振る。
しかし、それがグリーンゴッズ店長の仕掛けた最後のトラップであった。
アウト側に振った途端に、ステアリングに激しいキックバックと車内に飛び込むガン!ガン!ガン!と云う音と軋むボディ。何が起こったのか一瞬理解出来なかった。
「キャッツアイかよ!」
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