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「……なあ、瑛。ここの問題がわからないんだけど」
「ああ、ここは……」
ここは仏永家の尚人の部屋。
中には問題に詰まっている部屋の主、仏永 尚人(フツナガ ナオト)とその問題用紙を拾い上げ、解説をつけ教えている尚人の幼なじみ、宝場 瑛(ホウジョウ アキラ)と2人で勉強会を進めていた。
「……今の説明でわかならかったところはないか?」
瑛は確認するように問いかけながら尚人の顔を覗き込むようにまじまじと見つめる。
尚人は一定の距離を保ちながら首だけを上下にふる。
(近い!近いから!?)
尚人は引きつった表情浮かべ、瑛の目から視線を反らさないようにする。
「……わかった。なら試しにこの問題を解いてみろ」
そう言いながら瑛は尚人から顔を離し、自作の問題を書いたノートを机の上に置く。
尚人は安堵の息をこぼし、問題を見つめる。
(……。これなら解けそうだな)
尚人は転がっているペンを拾い上げ、問題を解き始める。
7月5日
夏休みまであとわずかなこの時期、尚人はある問題を抱えていた。
それは『期末テスト』。
尚人の成績は普段は中の上、場合によってはトップ10にも入ったことがある程の人、赤点とは無縁の立場だった。
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