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恭平が振りかぶった。
初球、2球目と今回の投球は明らかに違う…
左足を引き、腰を回し、右足を軸とし左足を上げ、
左腕を高く上げグローブを突き出す。
グローブが体の前に突き出ると同時に体重移動を開始し、右足でタメを作って左足が地面を蹴った。
右腕が後方から上手で、振り下ろされる。
『ズドンッ!』
鉄のミットにボールが
収まっていた。
瀧沢は見逃した…
いや、正しくは手が出なかった。
確かにその前の投球のせいもあるかもしれない。
しかしそれを考えなくとも
“手が出せなかった”
「なっ…」
しばらく打席に立ったままで
そのあとボックスから出て歩いて行った。
ベンチもまた驚かされた。
『どうしてあんな球が投げれるのか?』
と言う疑問と
彼は何者かという疑問で…
この試合中それは語られることはなかったが…
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