わたしが見たもの

2/3
前へ
/49ページ
次へ
 彼女は三階の八組、わたしは二階の一組で、校舎も違うのでなかなか頻繁に会えるというわけではない。わたしが初めて小西イネと出会ったのは昨年の体育祭、同じ委員を務めていたことが切欠で仲良くなった。  付き合っている男性の噂などはわたしからは聞かないし、人伝からも聞いたことはないけれど、インテグレートのグロスをつけて、少し茶色の入ったバウンシーウェーブの髪をした年頃の女の子としてもそれなりに魅力はあると思うし、お洒落にも気を使っているように映る。  背はわたしよりも高くて、中学の時は陸上部に所属していたこともあってか、引き締まった体をしていて、特に脹ら脛の筋肉は一見の価値はある。  高校に入ってからは帰宅部となり、だから彼女と下校時に一緒に帰ることもあって、また途中まで同じ方向という偶然も重なって、二人自転車で寄り道をすることも何度かあった。  お互い粉物が好きで、商店街の中にある人気のたこ焼き屋に行くこともあった。  最近は廊下ですれ違っても軽く会釈する程度で、べつに仲が悪いとかそういうのではないけれど、特別仲良しだったわけでもなく、何度か一緒にたこ焼きを食べた仲でそれ程付き合いが深い関係ではなかった。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

55人が本棚に入れています
本棚に追加