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翌日の学校では当然ながら、小西イネ宅の火事の話題で占められていた。それはそうだろう。今月に入り、小西イネを入れて二件の火事が立て続けに起きている。
こんな小さな町で、それも二件ともわたしたちの通う如月(きさらぎ)高校の生徒が絡んでいるとなれば、話題にならないわけがない。
一件目の火事が起きた一年生の島田貫太(しまだかんた)宅の時も、勿論話題には上がったけれど、不幸な事故ということで、それにクラスも学年も違うし、わたしたちはこれ以上の突っ込んだ話をするのは申し訳ない思いもあり自粛した。
しかし二件目の小西イネ宅の火事となるとそうはいかない。一年の時に彼女と同じクラスメートだった子もいるわけで、彼女の笑顔も知っているし、共に過ごした時間の中には色々と思い出だって詰まってある。語るなという方が間違いだ。
朝から教室は小西イネと友達だった女子生徒を中心となって輪を作っており、いなくなってしまった彼女のことを思い出してみんなで涙を流し、言葉には表せない悲しさ、悔しさなどを共有していた。
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