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豊かな自然に覆われた小さな山に二人の少女の姿があった。
一人はまだ幼さも少し残る、しかし凛とした雰囲気を持つ少女。栗色の短い髪を揺らしながら、彼女はもう一人の少女の手を早く早くと急かしながら引いていく。
「メイコ、そんなに急いで一体ぼくをどこに連れていくんだ?」
少し困ったように笑いながら言った少女。
メイコと呼んだ少女よりも少し年上なのか、少し大人っぽさが感じられる。
しかし、紅紫の髪をきれいに巻いてツインにしているせいか、大人っぽいというよりは可愛さが強調されていた。
「もうすぐだから。
テトにぜひ、見せたいものがあるの。」
そう言いながら顔を輝かせるメイコ。
テトと呼ばれた少女はそんなメイコの笑顔が大好きだった。
一番大切な親友のまぶしい位の笑顔を見ると、つい何でも許してしまう。
そして今回も。
「………分かったよ。
だけどもう少し、ぼくをいたわってペースを落としてくれると嬉しいな。」
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