カモミール

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カモミール

カモミールの湯気を 鼻孔へ入れる 草の匂いだ 深く 深く 幾度も 幾度も 湯気を吸う 草の匂いだ 心と身体の 強張って固くなったのを 湯気が溶かしてゆく 気を抜くと カップを落としてしまいそうに 私は匂いに 草に 包まれ 癒され カモミールと 小洒落た名を持つその草が 何処のものかは知らねども 草は草 私の育ったこの場所に 溢れ 伸びゆく 草も草 母の胸に眠るように 優しい匂いに瞼を閉じる 草は草 常に私の傍らに在るもの
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