1人が本棚に入れています
本棚に追加
英雄
「そうだな。みんな竹本君のお陰だな」
良子
「そうね」
英雄
「それなのに私は…。2人を別れさせるような事をして…」
良子
「あなた、それは…。なおみたちは別れてよかったって言ってるんですから」
英雄
「そうだったな」
そして11時。純二を迎えに行く時間がきた。
なおみ
「じゃ、行ってきます」
良子
「気をつけてね。浮かれすぎて羽目を外してはダメよ」
なおみ
「はーい」
東京駅は、帰省する人々で混雑していた。
なおみ
「うわぁ、すごい人。純二さん、見つけられるかなぁ」
なおみは、純二を見つけやすいように、純二が到着するホームへ行くことにした。
なおみ
「ちょっと早かったかなぁ」
アナウンサー
「間もなく1番線に、12時5分発の博多行きひかり237号が到着いたします」
なおみ
「あっ、きっとこれだ」
アナウンサー
「毎度ご乗車ありがとうございます。お手荷物などお忘れ物ございませんよう、お降りください」
たくさんの人が降りてきて、ホームはたちまち大混雑。もみくちゃにされながら、なおみは一生懸命純二を探した。
なおみ
「純二さん、どこかなぁ」
なおみは、人が空くまで待つことにした。しかし、人が疎らになっても純二の姿はなかった。
なおみ
「あれ?純二さん、乗ってなかったのかなぁ」
純二は、なおみを驚かそうと、柱に隠れていたのだ。そっと気付かれないように、少しずつなおみに近づいていった。そして、なおみのすぐ後ろに行き、目隠しをして…。
純二
「だーれだ!」
なおみ
「えっ!?純二さん?」
純二
「やぁ、ただいま」
なおみ
「ひ、ひどいよ。劇的な再会を期待してたのに…」
純二
「あっ、そうだったの?ごめん。それはまた今度まで楽しみにしてて」
なおみ
「もう知らないっ!」
なおみは拗ねて、1人で帰ろうと背を向けた。
純二
「おい、なおみ。待てよ。悪かったよ」
なおみは、黙ったまま地下通路の方へ向かった。その時、なおみの腹の虫が鳴った。
なおみ
「あっ、やだー」
純二
「そうか、腹が減ってたから怒りっぽかったんだな。じゃ、飯食いに行こう」
なおみ
「うん!」
純二
「もう機嫌直ってる。現金なやつだなぁ」
最初のコメントを投稿しよう!