夕陽の中で 第5章

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なおみ 「えへっ」 なおみは、ペロッと舌を出してごまかした。 その後、2人は駅の中の食堂街のレストランに入って、ちょうどお昼時で混雑していたが、同じような店がたくさんあるため、席は空いていた。なおみは注文したものがテーブルに並んだかと思うと、脇目も振らず黙々と食べた。そんななおみの食べっぷりを、純二は呆れてみていた。 なおみ 「ごちさうさま」 純二 「しかしよく食うなぁ。太るぞ」 なおみ 「育ち盛りといってください。でも…、純二さん、私が太ったら…、嫌いになる?」 純二 「太っていようが痩せていようが、なおみはなおみだろ。嫌いになるわけないじゃないか」 なおみ 「…100キロ位になっても?」 純二は、100キロになったなおみを想像した。 純二 「それはちょっと考える。でも、なおみはこの間言ったじゃないか。俺のためにきれいになりたいって。その気持ちがあれば太るはずないだろ」 なおみ 「そうだね。太らないように気をつける」 純二 「それに俺は、外見だけじゃなく、中身のお前に惚れてるんだから」 なおみ 「純二さん…。うん。あっ、ねぇ、これからどうするの?」 純二 「そうだなぁ。まず、孝行の家に行って荷物置いて、お前の家に行くよ」 なおみ 「今夜は孝行の家に泊まるの?」 純二 「ああ、そのつもりだけど…」 なおみ 「…ねぇ、うちに泊まってよ。お母さんもその準備してるみたいだし、たまにはいいでしょ?」 純二 「でも…、そんな迷惑かけられないよ」 なおみ 「お父さんもお母さんも言ってたわよ。純二さんはうちの息子みたいなもんだって」 純二 「そうか。じゃぁお言葉に甘えようかな。少しでもなおみと一緒にいたいし」 なおみ 「うん」 純二 「じゃぁ行こう」 2人は北原家に向かった。 なおみ 「ただいま」 純二 「こんにちは」 良子 「いらっしゃい。疲れたでしょう。さぁ、あがって」 純二 「お邪魔します」 英雄 「いらっしゃい」 純二 「ご無沙汰してます」 純二は、英雄に対して敬意を持って一礼した。 良子 「竹本さん、こっちにいる間は、うちで泊まってくださいな」 純二 「すみません、お世話になります」 英雄 「一応帰るまでの予定を聞いておきたいんだが…」
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