夕陽の中で 第5章

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西田は生唾を飲んだ。 なおみ 「純二さんったらぁ…」 西田 「うんうん」 なおみ 「みんなのいる前でぇ…」 西田 「うんうん」 なおみ 「キャーッ、どうしよう」 なおみは照れて、両手で顔を隠した。 その時、西田がなおみの首の一部が、赤くなっているのに気づいた。 西田 「…あれっ、なおみちゃん、首の赤いの、どうしたの?」 なおみ 「あっ、こ、これは…」 またなおみの顔が、一段と赤くなった。 西田 「かわいい!また赤くなった。で、どうしたの?」 なおみ 「…純二さんが、…私は純二さんの物だっていう印だって、…キスマーク付けたの」 西田 「えー!?」 岩崎 「竹本もやるじゃないか」 なおみ 「…わ、私、そろそろ帰ります」 西田 「あっ、送ってくよ。塚本さん、ちょっと出てきます。ついでにお昼もしてきます」 塚本 「ああ」 港署の外食党の人達は、たいていの人がサンレモンで昼食を摂っている。西田もその一人である。今日はなおみを連れて昼食にきた。 西田 「好きなもの頼んでいいよ」 なおみ 「ご馳走してくれるの?」 西田 「ああ。その代わり、さっきの話もっと聞かせて」 なおみ 「えー、どうして?」 西田 「どうしてって、それはそのー、…今後の場合に備えようと…。俺も彼女ほしいし、出来た時に参考になるかなぁ、なんてね」 なおみ 「…純二の所に泊まると、朝いつもおはようってキスされるの。この間もみんなのいる前で…。夜中眠れなくて、外に出て星空見てたら、純二さんも出てきて、…甘えさせてくれたの」 なおみは、恥ずかしそうに食べながら言った。 西田 「あ~あ、竹本が羨ましいな。でも、孝行君達が一緒じゃ、あまりイチャイチャ出来なかったんだろう」 なおみ 「うん。今回は遊びじゃなく、勉強だから…。でも…」 西田 「えっ?まだ何かあったの?」 なおみ 「もういいじゃない。これ以上はもう…」 西田 「じゃぁ、最後にもう1つだけ。もう自分の事、あいつにあげちゃったの?」 なおみ 「まだ…。私は時々いいよって言うんだけど、お父さんとの約束があるからって…」 西田 「約束って?」 なおみ 「一線を引くようにって。純二さんと付き合う条件なの」 西田 「そうか…。それで竹本も我慢してるんだ」
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