夕陽の中で 第5章

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なおみ 「うん。今日の学校の帰りにね」 西田 「何送ったの?」 なおみ 「手編みのカーディガン。今日から自分のを編むの。純二さんとお揃いで」 西田 「いいなぁ、竹本のやつ。こんな家庭的な彼女がいて…」 なおみ 「そんなことより打ち合わせ!」 西田 「ああ、そうだった。あと用意するものは…」 2日後、純二のところに、なおみからの荷物が届いた。純二は早速なおみに電話をした。 なおみ 「はい」 純二 「あ、俺、元気にしてたか?」 なおみ 「純二さん。電話待ってたんだよ?修学旅行以来ちっとも電話くれないんだもん」 純二 「ごめんごめん。年末になると事件が多くてさ。毎晩遅いもんだから。プレゼントありがとう。気に入ったよ。早速明日から使わせてもらうよ」 なおみ 「ほんと?よかった。今ね、自分のを編んでるの。お揃いなのよ」 純二 「じゃぁ正月に帰ったときに、一緒に着ようか」 なおみ 「うん」 純二 「それはそうと、期末テスト、どうだった?」 なおみ 「バッチリよ。中間テストは悲惨だったからね。頑張ったよ」 純二 「悲惨って、例の事件でか?」 なおみ 「…うん」 純二 「まぁ、期末がよかったんなら一安心だな。いつから冬休みなんだ?」 なおみ 「明日からよ。あっ、そうそう。明日ね、一係のクリスマス会なの。西田さんが幹事なんだって。もう手伝わされちゃって」 純二 「こき使われてるのか?」 なおみ 「そんなんじゃないけど…」 純二 「西田さんも俺がいないことに、なおみを独り占めしようと思ってるんじゃないのか?」 なおみ 「えー!どうしよう」 純二 「あまり仲良くするなよ」 なおみ 「わかってる。純二さんも北署の人と仲良くしないでね。特に交通課の…」 純二 「分かってるよ。こっちには美人はいても、俺好みの人はいないから」 なおみ 「そうなんだ。よかった。あっ、ねぇ、純二さんはいつ帰って来るの?」 純二 「そうだなぁ。有休、まだ残ってるし、家にも帰りたいし。正月休みは29日からなんだ」 なおみ 「じゃぁ、思い切って26日の日曜日からにしたら?27、28日と休み取って」 純二 「そうだなぁ。事件がなければそれくらいでいいと思う。1度聞いてみるよ」
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