11人が本棚に入れています
本棚に追加
×××××××××××××××
ガラガラと教室のドアを開け、教室に入る。
クラスはいつも通りの雰囲気。
友達と喋ってる人が大半。自習してる…というか今日提出の課題をやってる人が数人。
窓から入る優しい陽光。
青空の下にあるのはグラウンド。その向こうにはいくつかの送電塔と田んぼだけ。
ショボい田舎だよなぁと思いながら教壇を上り、とぼとぼと歩いて教卓を過ぎたところで下りる。
窓側の前から二番目がウチの席。
前の席に居るのは…
「おはよ、奈穂」
サラサラな黒髪は今日もポニーテール。
綺麗な白い肌。凜とした顔立ち。
豊満な胸。腰も細くて羨ましい。
とにかく見た目“は”クールな女の子。
ウチの親友“氷雨 絵里香(ひさめえりか)”
「昨日のDVDどうだった?」
「…めっちゃ怖かった」
とりあえず普通の会話をしようと思い、絵里香の問いに正直に答える。
「幽霊が恨めしい、嘘つき…って主人公に詰め寄るとことかさぁ…」
「やっぱそこが1番怖いよね!!」
リュックを置き、席に座って映画の話をする。
昨日絵里香にDVDを借りた。
“紅色の女”っていう去年ヒットしたホラー映画。アレはリアルに怖かった。まだ途中までしか見てないけど。
「倉庫のシーンは見た?」
「倉庫?人形のとこまでしか見てないけど…」
ホラーが苦手なウチが絵里香からそういうDVDを借りたのは耐性をつけるため。まだ先のことだけど今からでも鍛えておかないと…
「人形ってことは半分くらいか…」
「今日見てみるね」
「…大丈夫?怖くない?」
「こ、怖くなんか…!」
大丈夫。
これは試練だ。男の試練だ!!…と自分に言い聞かせる。
「…奈穂」
突然、絵里香が真剣な顔つきになった。
「何?」
と平然を装い、言葉を返す。
「…今日の奈穂、」
キーンコーンカーンコーン…
8時35分。
スピーカーからチャイムの音が響く。
最初のコメントを投稿しよう!