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「?」
絵里香と夏草君のやり取りを見ていた桜木君がウチを見る。
「ここはクリームパンで妥協しない?」
脇に置いてあったクリームパンを手にとり、差し出してみる。
ウチが大好きなパン、しかも購買で買ったラスト一個。
ホントは野郎になんか渡したくないけど絵里香のためだ。仕方ない。
「……」
じっとクリームパンを見つめる桜木君。
止まない絵里香と夏草君の声。
遠くで聞こえる車の音。
ウチは黙って返答を待つ。
「……」
「……」
待って、待ち続けて。
長く続いた沈黙の果てに出た答えは…
「…もらっとく。焼きそばパンはもういい」
よっしゃぁっ!!交渉成立!!
顔には出さず、心の中でガッツポーズをする。
「大事に食べてよね」
“さっさと帰れ”という念を送りつつクリームパンを渡す。
「……」
桜木君は黙ってウチを見下ろす。
「…何よ」
まだ何か用?
用が無いならさっさと帰っ……
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