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メロディーは桜木君のブレザーのポケットから聞こえた。
「……」
桜木君は無言でケータイを取り出し、画面を見る。
カチカチと数回キーを押して、すぐ閉じ、ポケットに戻す。
多分メールだ。返信はしてないみたいだけど。
「…迷惑かけたな」
やっと謝った(?)桜木君。
口で言っただけでその顔には何の感情もなかった。
桜木君は何事もなかったかのように屋上のドアへ向かう。
「待てよ桜木!!」
慌てて後についていく夏草君。
ギィっと重い屋上のドアを開け、戻っていく二人。
バタン、とドアが閉じるとさっきのパン騒動がなかったかのような静寂が訪れた。
「…何だったんだろうね」
静寂の中で絵里香が言葉を漏らした。
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