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「ここの主人公の心情、やっと彼女への愛が真であると気づいて…」
6時間目、現代文。
加藤のスローボイスが生徒たちを眠りへと誘う授業。
「…うん。こういう展開、僕はねぇ、好きだよ」
いや、知らねぇよ。
つか恋愛小説とかつまんない。
退屈だから眠気に堂々と白旗挙げて寝てた。
「……」
まだ頭がぼんやりする。
クラスメートの大半は寝てるし、目の前の席の絵里香も堂々と寝てる。
…そういえば夢を見た。
小さい頃の自分の夢。
夕方、涙川の河原で泣いた。
あの日、ウチは絵里香と喧嘩した。
喧嘩の原因は…
『絵里香ちゃんの馬鹿ぁ!!』
『奈穂ちゃんの馬鹿馬鹿ばーか!!大っ嫌い!!!』
『奈穂も絵里香ちゃんなんか嫌いだもん!大大大嫌い!!!!』
公園での喧嘩。
そう、確か原因は遊具。
遊具の取り合い。
今思い出すとちょっと笑える。
ウチは公園を飛び出して、涙川の河原に行って、泣いて。
反省して、橋の上で謝って…
……あれ?
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