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橋が見えた。
石造りで妙に存在感がある“涙橋”
あの橋のあたりでいつもこの曲は止まる。
で、あの橋から3分くらいで学校に着く。
“私は折れない~♪私は負けない~♪♪”
ウチの足が負けそうです。昨日の体育で筋肉痛だから余計に。
つか歌詞をシミジミ聞いてる余裕もない。いつものことだけど。
…足が痛いけどもうすぐ。もうすぐ橋だ。
“~♪~~♪♪”
歌が終わった。
ギター、ベース、ドラム、ピアノだけになった。
もうすぐ曲が終わる。
チャリの前輪が橋に差し掛かる。
「……?」
誰かいる。
橋の中間。ウチと同じくらいの、腰までのびた赤色の長髪、白いワンピースを着た女の子。
身を乗り出して川の流れをじっと見ている。
“~♪”
ギターが消える。
女の子の長髪が風になびく。
“~~♪”
ベースが消える。
チャリが橋の中間に差し掛かろうとしている。
“~~♪♪”
ドラムが小さくなり、消える。
チャリが中間に差し掛かる。
“~~♪”
ピアノがラストを飾る。和音が、響く。
女の子が振り返った。
目が、あった。
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