序章

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 Mの看板を後に、ひとり歩く。  いいさ。理解出来ない奴なんざ相手にするこたねえさ。  あたしは花粉吹きすざむ道をゆく。  お~とぉこだったぁらぁ~♪  流れるはあの銭投げ男のテーマ。  いざ、レンタルDVD!  店に入ると目的のブツはすぐに見付かる。  ま、今は福山で我慢するか。  と、神懸かり的に罰当たりなことを思いながら「龍馬伝」と書かれたパッケージに手を伸ばす。  そう。あたしの運命の相手は坂本龍馬。  夢で微笑む細い目があたしの胸を八つ裂き・・・もとい串刺し? ん? 違うな・・・  ・・・まあフォーリンラブってことよ。  歴史ブームだとか言われてるけど、時代劇以外にはあんまり興味なかったあたしが、歴史上の人物に恋してしまうなんて。  でもやっぱり時代劇好きのあたしは、ネットで調べるより時代劇を見る方を選んだ。  パッケージに触れる。  ビリッと電気が走った。  ような気がした。  静電気? 春だぜ、おい。  ま、いいか。とりあえず三本借りるか。
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