1人が本棚に入れています
本棚に追加
一、二分の沈黙の時が過ぎる。
何もしなくても時間というのは必ず過ぎるので俺も行動に移す。
「うし、じゃあテメーは起きたし、さっさと結(ユイ)も起こさねーとならねぇから後は自分でなんとかしろ」
じゃあな、と言い部屋を出ようとするが乃愛の手によって妨害される。
「どうした?」
俺の袖を掴み、俯いている乃愛に聞くが乃愛は俺の制服の袖を掴んだまま黙っている。
正直言うなら困る。 ほら、時間って先程も言った通り必ず過ぎるモノだから、急いでる俺としてはさっさと用事を言ってもらってパパッと終わらしたい。
が、当の本人が言葉も行動もなくに俺の袖を掴んだまま黙っている。
流れる無意味かつ気まずい空気。 空気清浄機とかで洗浄したいが悲しいかな乃愛の部屋には残念ながらそんなモノは存在しない。 ゆえに気まずい空気は俺を圧迫し続ける。
気まずい空気を放出している原因は未だに黙りこくる始末。
チラリ、とパステル調の壁に掛けられてる時計の針は七時五十分を指しており、朝食タイムが刻一刻と、そして淡々と消化されていくのが俺の頭でも理解出来過ぎる。
幸いにしてこの家から学院までは十分程度なのが救いであるようなそうでないような。
しかしこのままでは朝食抜きコースから遅刻コースに直行しそうなので会話を促そう。
「おい、乃愛。 言いたいことがあんならさっさと言ってくれ。 さもねぇと俺の制服の袖口が見るも無惨な姿に変わっちまう」
主に被害者は俺の袖口である。 次には俺の腹ん中だったりするのは内緒である。
乃愛がその言葉に動かされたのかはたまた端っから動くつもりだったのか定かではないが乃愛は次のアクション。 何故だか俺の背中に軽く抱きつく、という行動に出た。
畜生、悪化しやがった。 おい、こら。 何、頬擦りしてんだテメー。 いい加減にしねぇとブン殴んぞ、流石に。
最初のコメントを投稿しよう!